今から約二千年前、ユダヤのベツレヘムという町でイエスというお方がお生まれになりました。聖書によれば、この方は旧約の時代から何百年もその到来が待たれていた[メシア(救い主)]だったにもかかわらず、生まれたその子には居場所がなく、両親は家畜の餌入れにその子を寝かせました。また時の権力者であったヘロデ王は、自分の地位が脅かされることを恐れ、その子の存在を抹殺しようと画策し、一家はエジプトに逃げることを余儀なくされました。
世間での華やかなクリスマスのイメージとは裏腹に、聖書はイエス誕生にまつわる大変な状況を描いています。それは、[救い主]であるお方がわたしたちからは遠く離れたどこかの神殿や宮殿で生まれたのではなく、まさにわたしたちの真っ只中に、それも人間の罪や貧しさといった現実の真っ只中にお生まれになったことを示唆します。でもだからこそ、そのお方はわたしたちすべての人間にとっての[救い主]、〈神がいつもわたしたちと共にいて下さる〉しるしなのです。そしてイエスというお方は、神がすべてのいのちをどれほど愛しておられるか、その愛が人間の想像をはるかに超える大きなものであることを、御自分のいのちをもって示して下さいました。
今日、世界中の教会はイエスの誕生を祝います。神が人間の歴史に介入なさったこと、それによってこの二千年の歴史が大きく変わったこと、そして何よりもそれが神の大きな愛のわざであることを思い起こしながら。
主の降誕の喜びを、一人でも多くの方と分かち合いたいと思います。