救いの泉から

―主任司祭メッセージ 8/16―



あなたたちは喜びのうちに
救いの泉から水を汲む
(ことになる。)
(イザヤ12・3)

 この預言者の言葉を通して、神さまは「ご自分の救い」のおくりものを預言してくださいます。
このおくりものは、神さまがご自分のひとり子を通して実現してくださいました。

神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。
独り子を信じるものが一人も滅びないで、
永遠の命を得るためである。
(ヨハネ3・16)

 またパウロの手紙に

         喜んで与える人を神は愛してくださる。   とあります。
(Kコリント9・7b)

 こうして、昔から教会は新しい兄弟を迎え入れる日は、イエズスさまの死と復活を記念する
復活徹夜祭がふさわしい、としてきました。
 救いの恵みによって新しい兄弟となる人々は、主イエズス・キリストの死と復活の神秘に
結ばれて、新しいいのちを生きはじめるからです。
 実は、この復活徹夜祭に記念する教会の最も大きな出来事は、ミサの中でいつも新たに
行われます。こうしてミサの中に秘跡が与えられることも、教会の伝統です。

 今年はコロナのために、わたしたちの教会では後回しにされねばならなかった入信の秘跡を、
マリア様の被昇天の祝日に近い本日(8月16日)に行うことになりました。

 ミサの中で秘跡が行われる場合、ミサの「みことばの祭儀」の続きとして行われますが、
その理由は、「みことばの祭儀」は信仰を明らかにし、また信じる心を起こす役割をするからです。

 入信の秘跡といっても、ご存じのように大人の場合、洗礼・堅信・聖体の三つの秘跡を一緒に
行うことになっていますが、例外もあり別々に行うこともあります。
 1. 洗礼、それはキリストのいのちに加えられる秘跡です。
 2. 堅信、それはそのいのちが成長するために、特別なかたちで聖霊の力のおくりものを
  いただく秘跡です。
 3. 聖体(エウカリスティア、ミサ)、それは新しい神のいのちを養う秘跡です。
 ミサは、キリストさまとの一致によるわたしたちの「新しいいのち」を養い育てるものですが、
その新しいいのちは、「恵み」と言い、また「グラチア(Gratia、恩寵)」といわれます。
 そのほかに、ゆるしの秘跡、病者の秘跡があり、またさらに結婚の秘跡と叙階の秘跡があり、
教会には合わせて7つの秘跡があります。

 新しい兄弟を迎えるにあたって、わたしたちをその家族の一員としてくださる神さまを
思い出したいと思います。
 キリストを信じることは、わたしたちを或る社会の一員とする、或るチームの一員とする、
というのではなく、神さまの家族、キリストさまの兄弟とすることです。それも個々にではなく
「キリストさまご自身の一つの体」となる兄弟としてくれます。

父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。
わたしの愛にとどまりなさい。
(ヨハネ15・9)

 イエズス様のおくりものである聖霊の働きによって、わたしたちは“一つのもの”とされて、
イエズス様と一緒に声を一つにして、『天におられるわたしたちの父よ』と呼びかけることができます。

 秘跡を通して独特なかたちでイエズス様はわたしたちといつも共におられ、わたしたちも
彼に会えることによって、神の子どもとしてのいのちをわたしたちの内に育てることができるのです。
 今もイエズス様がいわれます。

「乾いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。
わたしを信じるものは、聖書に書いてあるとおり、その人の内から
生きた水が川となって流れ出るようになる。」
イエスは、御自分を信じる人々が受けようとしている
“霊”について言われたのである。
(ヨハネ7・37b〜39a)

 喜んで新しい兄弟を迎え入れましょう!

 また来週!!



カトリック百合ヶ丘教会主任司祭 マリオ・ビアンキン

しばらくの間、ミサそのものをテーマにしてメッセージを続けていきます。


* 典礼用に、日本の司教団は「新共同訳」の聖書を使うように定めています。
ここに載せる聖書は、「新共同訳」の聖書です。

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