聖書には愛について次のようにあります。

わたしたちが神を愛したのではなく、
神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、
御子をお遣わしになりました。
ここに愛があります。
（�Jヨハネ　4・10）

　ミサは神さまの「ささげもの」です。ミサは神さまが愛のいけにえとして、ご自分をささげてくださった
「ささげもの」です。
　聖書のアダムとイブの「罪の話」の終わりに、救いのおとずれの約束とともに、誘惑者に対する
キリストの勝利が次のことばで記されています。

わたしはお前と女との間に、
またお前の子孫と女の子孫との間に敵意をおく。
彼はお前の頭を踏みつけ
お前は彼のかかとに咬みつく
（創世記　3・15　フランシスコ会訳）

　それから続いて、カインとアベルの話があります。

さて、アダムは妻エバを知った。
彼女は身ごもってカインを産み、「わたしは主によって男子を得た」と言った。
彼女はまたその弟アベルを産んだ。
アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。
時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。
アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。
主はアベルとその献げ物に目を留められたが、
カインとその献げ物には目を留められなかった　　　　と。
（創世記　4・1〜5a）

　わたしたちにとって大切なことば「ささげもの」は、ここに初めて出てきます。すなわち、カインも
アベルも神さまにささげものをささげることをふさわしく思い、ささげものをしますが、「ささげる心」が
異なっていて、神さまはアベルの方に目を留められ、カインの方には目を留められなかった、
とあります。

イエズスさまは、神さまが望んでおられた心をもって「ささげもの」を捧げる方として、ご自分を
わたしたちのためにお捧げになりました。わたしたちも同じふさわしい「ささげもの」を捧げることが
できるために。

　ローマ奉献文として知られている第一奉献文に、聖変化の後で次の言葉があります。

このささげものを いつくしみ深く顧み、こころよく受け入れてください。
義人アベルの供えもの、太祖アブラハムのいけにえ、
また、大祭司メルキセデクが供えたものを、
とうといささげもの、けがれのないいけにえの しるしとして受け入れてくださったように。
全能の神よ、つつしんでお願いいたします。
あなたの栄光に輝く祭壇に、このささげものを み使いに運ばせ、
いま、祭壇で御子の神聖なからだと血にともに結ばれるわたしたちが
天の祝福と恵みに満たされますように。

　どうしてカインのささげものは受け入れられなかったのでしょう？　　
　ヨハネの手紙に次のようにあります。

カインのようになってはなりません。
彼は悪い者に属して、兄弟を殺しました。
なぜ殺したのか。自分の行いが悪く、兄弟の行いが正しかったからです。
（�Jヨハネ　3・12）

　つまり、わたしたちの「ささげもの」は、取り引きではありません。　　　　　
　神さまがわたしたちを先に愛してくださるからです。神さまの「善さ」を信じて、そこから学んで
自分を「ささげて」生きるところに、まことの喜びがあるでしょう。

　わたしの体験からお話しましょう。小さいころ、やりたくないことや食べたくないものがあったとき、
それをイエズスさまに捧げるように、親や兄たちからよく言われました。それがイエズスさまを愛する
機会となるからです。そのすすめに従うたびに、幸せを感じていました。イエズスさまの友だちに
なったような気がしていました。
　日本ではどうでしょうね？

　イエズスさまが来られたのは、「神の国」「平和の国」をもたらすためです。その国に入るために
イエズス様が道を開いてくださいました。ご自分を「ささげもの」にすることによって。それは救いの
恵みです。　　　　　　　　

また来週！

しばらくの間、ミサそのものをテーマにしてメッセージを続けていきます。