主はあなたとともにおられます
―主任司祭メッセージ 5/23―



 天使は、彼女のところに来て言った。
      「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」
(ルカ 1・28)

 天使ガブリエルのマリアさまへのこのお告げの言葉は、教会が「主のお告げ」の祭日に記念します
が、神さまの「救い」の訪れを示し、「天」(神)と「地」(人、創造されたもの)との一致による「平和」を
宣言するものです。そのために、キリスト信者のあいさつも「主の平和」となるのです。
 こうして、神さまの救いの御はからいはマリアさまのもとで始まりますが、さらにマリアさまがどうして
それが実現するのか と天使に問われると、答えは次のようでした。

「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。
      だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる…」
(ルカ 1・35b)   と。

 ここで教会の存在に欠けてはならない二つのことが、明らかになります。

 まず、聖霊のおくりものの偉大さであり、次にマリア様の役割です。

 マリア様は神さまのみ旨に心を開いて、天使にお答えになりました。

…「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」…
(ルカ 1・38)

 マリアさまは、神さまが行われる救いのみ業に対して人間に欠けてはならない 心からの「承諾」を
なさって、聖霊による「天と地との一致」を成し遂げる教会の信仰を表されました。こう云う理由で、
マリアさまは「神の母」だけでなく、「教会の母」ともなられました。このしるしとして、教会の建物の中
には、必ずマリアさまに祈る場所が設けられています。

 もともと、創造主である神さまは人(アダム)のもとに、天と地の一致を置かれました。人(アダム)を
ご自分に象って造られたからです。この一致を破ったものは「罪」でしたが、神は「新しい人(アダム)」
キリストによる救いの業を通して、この一致を回復されました。歴史(時間)の中で、この一致に導いて
くれるのは、キリストのおくりものである「聖霊」です。

 イエズスさまは聖霊のおくりものについて、次のように話されます。

「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。
わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、
永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。
この方は、真理の霊である。
世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、
受け入れることができない。
しかし、あなたがたはこの霊を知っている。
この霊があなたがたと共におり、
これからもあなたがたの内にいるからである。…」
(ヨハネ 14・15〜17)

 さらにイエズスさまは、その受難、死と復活の神秘を通して実現された救いの業ののち、ご昇天を
前にして弟子たちに次のように言われます。

    「…わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。
      高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい」
(ヨハネ 24・49)

 こうして

彼らは都に入ると、泊まっていた家の上の部屋に上がった。
それは、ペトロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、フィリポ、トマス、バルトロマイ、
マタイ、アルファイの子ヤコブ、熱心党のシモン、ヤコブの子ユダであった。
彼らは皆、婦人たちやイエスの母マリア、またイエスの兄弟たちと
心を合わせて熱心に祈っていた。
(使徒言行録 1・13〜14)

 今日わたしたちは、教会の誕生日である「聖霊降臨」の主日を祝っています。
 聖霊によってマリアさまの信仰を通して神さまが人間となられたのと同じように、聖霊降臨のとき、
キリストの体である教会の内に、聖霊が宿られるようになりました。この時から、神の母であるマリアさまと
同じように、教会も「母」となりました。聖霊によって、「キリストのからだ」を生むからです。

 聖霊降臨の祭日であるこの時、神さまによる救いの業の完成を示す黙示録の言葉を思い出し
ましょう。

わたしはまた、新しい天と新しい地を見た。
最初の天と最初の地は去って行き、もはや海もなくなった。
更にわたしは、聖なる都、新しいエルサレムが、
夫のために着飾った花嫁のように用意を整えて、
       神のもとを離れ、天から下って来るのを見た。
(黙示録 21・1〜2)

天使はまた、神と小羊の玉座から流れ出て、
水晶のように輝く命の水の川をわたしに見せた。
川は、都の大通りの中央を流れ、その両岸には命の木があって、
年に十二回実を結び、毎月実を実らせる。
そして、その木の葉は諸国の民の病を治す。
      もはや、呪われるものは何一つない。
(黙示録 22・1〜3a)

「見よ、わたしは万物を新しくする」(黙示録 21・5b)

  

 「来たりたまえ、創造主なる聖霊よ…」 とご一緒に祈りたいと思います。 

 また来週!


カトリック百合ヶ丘教会主任司祭 マリオ・ビアンキン


* 典礼用に、日本の司教団は「新共同訳」の聖書を使うように定めています。
ここに載せる聖書は、「新共同訳」の聖書です。

主任司祭メッセージのバックナンバーは更新記録へ