教会の祈り(典礼)の一年間

―主任司祭メッセージ 6/13―


 皆様は教会の典礼の祈りに使われる「色の違い」についてすでに馴染みがあるでしょうか?
 第二バチカン公会議後、典礼に使われる色は四色で、
 ・神様である光を表す白」
 ・神の愛の証を表す「赤」
 ・回心を表す「紫」
 ・神のいのちの成長と希望を表す「緑」  です。
 でもなぜ、典礼は一年間をサイクルとして行われるのでしょう?
 実は、教会の典礼の原点は、主イエズスの「ご復活の日」にあります。そのとき、時間は全部
「その日」に入ることになりました。つまり「終わりがない日」となりました。「今日こそ神が創られた
日、喜び歌え、この日をともに
」と。
 神様は、七日間でこの世を創造されましたが、ご復活の日は、「週のはじめの日」つまり「新しい
創造」の始まりを示す日となったので、どの日も「ご復活の日」とつながっているものとなりました。
この出来事をもとに、教会の典礼は救いをもたらされたイエズスさまの生涯を記念する一年間の
暦を定め、また毎日も、イエズスさまのご復活の日とつながっている日となりました。
 この暦によると、教会は はじめにイエズスさまの誕生を記念する日、クリスマスを定め、それから
イエズスさまの受難、死と復活による救いを記念する日が定めました。最後は、その救いのおくり
ものである聖霊降臨の日(教会の誕生の日)からこの世の終わりにまた来られる「王であるキリスト」
の祭日までの期間を定めました。この日は年間にわたる暦をしめくくる日となっています。
 こうして一年間にわたって順序良く、救いの歴史の流れを参考にして、他の救いの出来事をも
記念する祭日が定められることになります。
 12月8日の「無原罪の聖母」、3月19日マリアの夫「聖ヨセフ」、3月25日「主のお告げ」、6月24日
「洗礼者聖ヨハネの誕生」、12月25日「主の降誕(クリスマス)」、1月1日「神の母聖マリア」など、
最後は8月15日の「聖母の被昇天」の祭日となっています。

 典礼の暦を参考にしながら教会は他の祈りもささげます。それは教会の歩みに伴うものです。
ことに秘跡が行われるときです。
 葬儀は教会でミサによって行われます。その理由は、洗礼によって「聖なるもの」とされた人の
ご遺体は「神の神殿」となっているからです。聖水をかけること(冠水)とお香を使うこと(献香)に
よってそれを“しるし”ます。死者のための教会の典礼は、「からだの復活」をテーマに、「主の
来臨」の希望を表しています。「主の死をおもい、復活をたたえよう、主が来られるまで
(奉献文)と。

 救い主イエズス・キリストを記念する教会の暦は、「ご降誕」と「過ぎ越しの神秘」以外の時を
「年間」といい、緑色を使う期間となっています。「年間」はクリスマスの期間の終わりに置かれて
いる「主の洗礼」の主日から始まりますが、こうしてわたしたちは今、年間第11主日(6月13日)を
祝うことになっています。


 聖ルカの言葉によれば、イエズスさまによる救いの業は、二つの言葉にまとめられています。
それはイエズスさまの“行い”と“教え”となっています。

テオフィロさま、わたしは先に第一巻を著して、イエスが行い、
また教え始めてから、お選びになった使徒たちに聖霊を通して
指図を与え、天に上げられた日までのすべてのことについて
書き記しました。
(使徒言行録1・1〜2)

 イエズスさまの誕生、またその死と復活を“行い”とすれば、「年間」はその“教え”をテーマと
しています。言葉をかえていえば、年間の教会の典礼は、ことに「先生」として教えてくださる
イエズスさまに出会い、共にわたしたちは終わることのない「主の日」を祝い続けていきます。
(私たちの教会のマリア像のイエズス様…教えてくださるイエズス様をこころに留めましょう)。

 最後に、毎日続く教会の典礼の祈りは、ミサの秘跡(エウカリスチア)を通して行われる
イエズスさまの祈りに、さらに「教会の祈り」(聖務日課)といわれている祈りによってもささげ
続けられています。
 この「教会の祈り」は、おもに聖職者と修道者による 一日を賛美する祈りです。信徒もそれに
加わるために、「アンジェラスの祈り」(お告げの祈り)の習慣が生まれました。現在「朝晩の祈り」
がすすめられているのには、こうした教会のこころがあります。
 「年間」、それはいのちを支え希望を育てるときです。このときを大切にしてご一緒に歩みたいと
思います。

 また来週!


カトリック百合ヶ丘教会主任司祭 マリオ・ビアンキン


* 典礼用に、日本の司教団は「新共同訳」の聖書を使うように定めています。
ここに載せる聖書は、「新共同訳」の聖書です。

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