今回、イエズスさまについて話された聖パウロ六世のパパさまのことばを分かち合いたいと
思います。
第二バチカン公会議(1962〜1965)からの教皇さま方、つまりローマ教会の司教の方々の
「お名前」を覚えていらっしゃいますか? 聖パウロ六世は公会議を呼びかけられた聖ヨハネ
二十三世の後継者でした。次のパパさまは、そのお二人の名前をとってヨハネパウロ一世で
した。その次は、よく知られている聖ヨハネパウロ二世でした。続いてベネディクト十六世、
そして今のフランシスコ パパさまです。
50年数年前初めてフィリピンを訪問された際の聖パウロ六世のお説教から、今日は紹介
させていただきます。
キリストが世界の果てまで宣べ伝えられますように
「福音を告げ知らせないなら、わたしは不幸なのです。」(Jコリント9・16) わたしはこのために
「キリスト」ご自身から遣わされました。わたしは使徒であり、証しする者です。目標までの距離
が遠く、果たすべき使命が厳しければ厳しいほど、わたしに迫る愛は強くなっていきます。
(Kコリント5・14)
わたしは「イエス」の名を宣べ伝えなければならないのです。イエスは「生ける神の子キリスト
です。」(マタイ16・16)
イエスは目に見えない神を現す方、「すべてのものが造られる前に生まれた方」(コロサイ1・15)、
すべての被造物を支えている方(コロサイ1・17)です。イエスはすべての人の教師、そして贖い主
です。イエスはわたしたちのために生まれ、死に、そして復活されました。
イエスは歴史と世界の中心であり、わたしたちを知り、愛しておられます。わたしたちの生涯
の伴侶、親しい友です。苦しみの人であり、希望の人でもあります。再び来られる方、最後の
日にわたしたちを裁く方です。そして、彼がわたしたちのいのちと幸せを永遠に満たす方となる
ことを、わたしたちは希望します。
?イエスについてどれほど多く話しても、十分に言い尽くすすべはありません。彼は光であり、
真理です。確かに、イエスは「道、真理、いのち」(ヨハネ14・6)です。飢えを満たすパン(ヨハネ
6・48)、渇きをいやす生きた水の泉(ヨハネ4・10)、わたしたちの羊飼い(ヨハネ10・11)、案内者、
模範、慰め、兄弟です。わたしたちと同じく、いやわたしたち以上に小さく、貧しく、卑しめら
れる者であったのです。肉体労働をし、逆境に耐えられました。わたしたちにことばを伝え、
奇跡を行い、「新しい国」をうちたてられました。その国では貧しい人が幸いと呼ばれ(マタイ5・3)、
平和が共同の生活の原理となり、心の清い人、悲しむ人が高められ慰められ、義に飢え渇く
人は満たされ(マタイ5・8、4、6)、罪びとはゆるされ、皆が兄弟となります。
イエス・キリストとはそういう方です。この方のことを聞いているあなたがたの多くはキリスト者
ですから、この方のものです。したがって、わたしはキリスト者である皆さんにイエスの名をくり
返し、そしてすべての人にも知らせます。
イエス・キリストは初めであり終わり、アルファでありオメガ、新しい世界の王、歴史の謎を
解く最高の神秘、人間にその使命を全うさせる方、「天と地をつなぐ橋」の役目を果たす
仲介者です(Jテモテ2・5)。永遠、無限な方で、神の子であるがゆえにだれよりも完全に
人の子です。
イエスはすべての女の中で祝されたマリアの子です。このマリアは肉によればイエスの母で
あり、またキリストの神秘体の霊を共有することによればわたしたちの母です。
わたしたちはいつまでもイエス・キリストを宣べ伝えます。イエスの名が世界の果てまで
世々にわたって宣べ伝えられますように。