聖家族の保護者 聖ヨセフ
―主任司祭メッセージ 3/13―



 

 毎年3月19日、教会は聖ヨセフの祭日をお祝いします。ヨセフはイエズスさまの母であるマリアさまの夫ですね。教会が記念する聖人たちの中、ヨセフさまはマリアさまと共に崇敬される聖人です。ミサの時に次のように祈ります。
…なお、わたしたちを憐み、神の母おとめマリアとその夫ヨセフと使徒をはじめ、すべての時代の聖人とともに 永遠のいのちにあずからせてください。…
(第二奉献文より)
 そのため教会の建物には、アリアさまの御像とともに聖家族の御像が飾られる習慣があります。彼はマリアさまとイエズスさまの保護者(クストス)で、ナザレの聖家族を支える貴重な存在です。こうしてキリストの体である教会の保護者としても崇敬されています。

 子どもの時に教えられた祈りを思い出します。
 イエズスさま マリアさま ヨセフさま 心も魂もあなたがたにおささげします。いつもそばにいて見守り、死を迎えるときにもお助けください アーメン。  
と。
 その当時聖家族のご絵はどこの家にも飾られていました。ことに親の寝室には必ずありました。きっと神さまが望んでおられるわたしたち人類の家族の模範として、聖家族をくださったのに違いありません。聖家族は、ただ一つの望みをもって成り立っている家族です。それは神さまの愛の言葉を信じて、神さまの愛のみ旨の実現を願う望みです。そのような家族であるからこそ真の幸せの宿る家族ですね。

 人の子としてお生まれになることを神さまが決められる前に、神さまはそのみ旨を表わされてマリアさまの返事を待つことになりますが、マリアさまの承諾の後、ヨセフさまにもそのみ旨を天使を通じて伝えられました。そしてヨセフさまは妻を迎え入れます。まさに神さまの望みにかなう家族でした。

夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」…
ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じた通り、妻を迎え入れ、男の子が生まれるまでマリアと関係することはなかった。そして、その子をイエスと名付けた
(マタイ1・19〜21、24〜25)

 マリアさまもヨセフさまもご自分の夢ではなく、神さまの夢(みはからい)に従って生きる新しい人類の始まりとなった家族ですね。ヨセフさまはマリアさまとその子イエズスさまを守るために身をささげて生涯を送られ、真のお父さんとしてイエズスさまを育て共に仕事をされました。このことによって、一般の人々にイエズスさまはヨセフの子として知られるようになります。(参照 ルカ 4・22)

 こうして教会は聖ヨセフを世界中における普遍の教会を守る保護聖人として定めましたが、それは福者ピオ九世が宣言したものです。三年前、この宣言の150年の記念を祝い、パパフランシスコは使徒的書簡「パトリス・コルデ PATRIS CORDE “父の心で”の意」で、普遍の教会の保護聖人である聖ヨセフを思い出し、一年間をヨセフさまにささげるよう呼びかけられました。この書簡の意図は次の言葉で記されています。

わたしたちにより正しい理解の鍵を与えてくれるのは福音書である。福音書は、ヨセフが中心的役割を果たしたすべての出来事の終わりに、彼が「幼子とその母」を預かり、神が命ずるとおりにしたことを記している。これは、ヨセフがイエスとマリアを守る使命を負っていたことを強調するものである。実際、イエスとマリアはわたしたちの信仰の最も大切な宝である。(使徒的書簡「パトリス・コルデ」5)

 そこにパパさまは次の祈りをもって取次ぎを願うことをすすめています。

贖い主の保護者、
おとめマリアの浄配よ
神はあなたに御子をゆだね
マリアはあなたを信頼し、
キリストはあなたによって養われ、大人になりました。
幸いなるヨセフよ、
父親としての姿をわたしたちにも示し、
日々の歩みを導いてください。
恵みといつくしみと勇気が与えられ、
すべての悪から守られるようお祈りください。アーメン。

 ヨセフという名前は、ヘブライ語で「神が加え増やしてくださるように」という意味ですが、聖書でこの名前を持つ人はヤコブの十人の息子の中の一人だったということを覚えていらっしゃるでしょうか。

 聖ヨセフの取り次ぎを願い 祈りたいと思います。
 わたしたち百合ヶ丘教会の家族が、ますますイエズスさまの望まれる家族となりますように。こうして神さまがわたしたちにくださった聖家族の贈り物を、わたしたちが光として他の人々に伝えることができますように。
 イエズスさま、マリアさま、ヨセフさま、わたしはあなたがたに心も魂もおささげします。アーメン。

 では また来週!


カトリック百合ヶ丘教会主任司祭 マリオ・ビアンキン

主任司祭メッセージのバックナンバーは更新記録


* 典礼用に、日本の司教団は「新共同訳」の聖書を使うように定めています。
ここに載せる聖書は、「新共同訳」の聖書です。