[主任司祭メッセージ]
2023年イースターメッセージ No.125 (4/8)信仰の神秘 ―教会の信仰を記念してー
2023年04月08日
「生まれるのは、死ぬためではなく生きるためです」先日亡くなられた漫画家の松本零士さんのこの言葉に同感する人々が多いかもしれませんが、キリストを信じるわたたちにとってのその本当の理由は、使徒パウロが次のように書いています。
…、このことは、「目が見もせず、耳が聞きもせず、人の心に思い浮かびもしなかったことを、神はご自分を愛する者たちに準備された」と書いてある通りです。わたしたちには、神が“霊”によってそのことを明らかに示してくださいました。
…わたしたちは、世の霊ではなく、神からの霊を受けました。それでわたしたちは、神から恵みとして与えられたものを知るようになったのです。…わたしたちはキリストの思いを抱いています。(Iコリント2・9-10a、12,16b)
このパウロの言葉には、わたしたち教会の信仰の恵みによる「深い真実」が記されています。それは主イエズス・キリストの受難、死と復活(つまり主の過ぎ越し)の神から恵みとしての「神秘」です。その方はイエズス様ですね。イエズス様が「主」です。
ミサの中心となるイエズス様のいわゆる「最後の晩餐」のときの言葉によるエウカリスティア(聖体の秘跡)、すなわち聖変化の言葉の後に司祭が会衆に向かって「信仰の神秘」と唱え、会衆は次の言葉でその信仰を告白します。「主よ、あなたの死を告げ知らせ、復活をほめたたえます。再び来られるときまで」と。つまり、わたしたち教会はこの神秘の真実よって新しいいのちに生き、そのいのちに養われて生きることを宣言します。
わたしの好きな聖書の言葉は、箴言の4章の18節です。
神に従う人の道は輝き出る光進むほどに光は増し、真昼の輝きとなる と。
ここには、信仰による新しい命の意味が良く表現されていると思います。それは回心にもとづいた新しい感覚をもって生きるだからです。
わたしたちは信仰の光によって自分の毎日が照らされてイエズス様に従い、イエズスさまと共に歩むことによってその神秘に与かり、神の子の命を身に付けて生きる者となります。
使徒言行録に初代の信者の生き方について次のように記されています。
信じた人々の群れは心も思いも一つにして、…(いた。)(使徒4・32)
そして、毎日ひたすら心を一つにして神殿に参り、家ごとに集まってパンを割き、喜びと真心をもって一緒に食事をし、神を賛美していたので、民衆全体から好意を寄せられた。(使徒2・46b-47a)
信仰の恵みのおかげで大きな希望が訪れます。この大きな希望は、わたしたちの内に神さまと同じように愛する心を支えます。信仰、希望、愛…これらの恵みが天に根付いているからこそ、わたしたちの心に留まることによってわたしたちを天の人にしてくれるのです。パウロはこの恵みついて愛の賛歌に書いています。(参照:Iコリント12‐13)
さらにローマ人への手紙の中に次のようにあります。
こういうわけで、兄弟たち、神の憐みによってあなたがたに勧めます。
自分の体を神に喜ばれる聖なるいけにえとして献げなさい。
これこそあなたがたのなすべき礼拝です。あなた方はこの世に倣ってはなりません。
むしろ、自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。(ローマ12・1-2)
ミサでイエズス様はいつも新たにこの礼拝を捧げられますが、ご聖体の秘跡のうちにイエズス様は「現実の現存」の姿でいつもわたしたちと共に教会という聖なる場所におられます。それは、わたしたちもいつもそのみ前に居て祈ることができるためです。この理由でその場所は「神の家」とも言われ、小教区の教会にこそご聖体は置かれるべきものなのです。50年間も百合ヶ丘教会として存在しているわたしたちの今の建物は、ご存じように新しい建設のために今年の6月いっぱいでその役目を終えます。工事中、聖マリアンナ病院の外のチャペルをわたしたちの礼拝の場所として利用させていただく予定です。こうして、この建設の間もイエズス様はご聖体の秘跡の内にわたしたちと共におられ、わたしたちの信仰、希望、愛を養い続けてくださいます。
闇の中を照らし、わたしたちを導いてくださるイエズス様の「しるし」となるご復活のローソクを尊ぶ歌のことばでご復活のお祝いを申し上げたいと思います。
聖なる父よ、天と地 神と人とが結ばれた
このとうとい夜、あなたの教会が奉仕者の手を通してお捧げするこのろうそくを、
賛美のいけにえとして お受けください。
このろうそくが絶えず輝き、夜の暗闇がうち払われますように。
その光は星空にとどき、沈むことを知らぬ暁の星キリストと一つにむすばれますように。
キリストは死者の内から復活し 人類を照らすひかり 世々に至るまで。アーメン。