絵本『キリンですけど』 (高倉浩司・文/丸山誠司・絵/絵本館)
「キリンですけど
チーターにあこがれています
サバンナをかぜのようにはしりたいから
するとそのよる チーターになったゆめをみました
ゆめのなかでは じそく100キロではしりました
そのあと たてなくなりました
ぼく‥チーターにむいていないのか
キリンですけど
ウシにもなってみたいな
ミルクをしぼったら いつもおひるね
うらやましいかぎりです
すると こんどはウシになったゆめをみました
ゆめのなかで おじさんにいわれちゃった
『あれあれ? おっぱい みあたらないね』
そうそう ぼく おとこのこでした
キリンですけど
サボテンになってみたい なんて‥へんでしょうか
すると ほんとうに サボテンになったゆめをみました
ゆめのなかで はながさいた!!
まあ それはいいとして
とにかくたいくつ‥うごけないんだもん
キリンですけど
カメレオンになれたら ゆかいです
からだのいろをかえたら
だれも ぼくにきづかないんだ
そして ひそかに カメレオンになるゆめをみました
ゆめのなかでは かんぺきに はっぱにばけたのに‥
かんぺきすぎて ぼく たべられちゃう
キリンですけど
わすれちゃいけないのがライオンです
ぼくだって いちどは ひゃくじゅうのおうに
なってみたいのさ
そして どうどうと ライオンになったゆめをみました‥が
ゆめのなかで うっかり いってしまった
『きょうはキリンがたべたいな』って
ぼくは なんて おそろしいキリンなんだ‥
もっとへいわなゆめがいいな
キリンですけど
なんといっても‥にんげんになるのも いいかな?
にんげんになって ようちえんに いってみたいな
ゆめのなかでは ともだちなんにんできるかな?
ともだちになってくれるどころか
みんな にげていきました‥そりゃそうです
けれど ひとりだけ コツ コツ コツ コツ
ちかよってくるこがいます
『にんげんですけど キリンにあこがれています
せもたかいし めもかわいいし キリン すごーい!』
そ、そうだよね! やっぱり いちばんは キリンだよね!」
みんな誰かに憧れますよね。「〇〇さんっていいな」「〇〇君みたいになりたい!」って。
人だけじゃなくて、人の持ってる物もなんかよく見えます。「〇〇ちゃんの持ってるあれ、
わたしも欲しい〜!」とか「〇〇君の持ってるの、いいな〜‥」とか。自分も似たような物を
持ってるのにね。よく「隣の家の庭の芝生は青く見える」って言います。みんな他の誰かに、
誰かの物に憧れてる。でもそんなわたしたち一人ひとりに、神さまはいつも言って下さって
るんです。「その、あなたがいい。そのあなたが、一番!!」
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